063002 ランダム
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♪わさわさの妄想部屋♪

♪わさわさの妄想部屋♪

水面下~黒~


人はいつか 「黒」から「白」へ辿りつく

届かない 手に触れるのは風ばかり
目の前にあるはずなのに それは幻影だと言うのか
君は僕に微笑む


もう、届かないよ


「黒」に引き裂かれ 彼は目覚める
その手には 空しいほどの空気だけ
少年はうずくまり 涙をこらえる
朝日が照らす「黒」
少年はそこで 何を見出すのか

水面下は揺らぎ 波紋は物語を奏でる
――それは 彼が歩んだ「黒」

いつも見るのは君の「白」
それは「白」か分からないほど 「黒」的な「白」
「白」とは これほど残酷なものなのか

僕は何をした?
壊れ行く君に 僕は何をした?
……僕は何もしなかった
僕は「何もしなかった」という「紫」を犯した

君は何も言わない
「大丈夫」
ただ、それ以外は
さよならの一言も言わずに
君は消えた

夜になれば 廻り続ける「青」
僕が「紫」から解かれる日は来ない
ただ もう一度君に会いたい
ただ それだけ

届かない 手に触れるのは風ばかり
目の前にあるはずなのに それは幻影だと言うのか
君は僕に微笑む


もう届かないよ


少年を縛るのは 「紫」か 「緑」か
そして少年は どんな「白」を描くのか
儚く消えうる「白」に どんな「碧」を乗せるのか
それを知るのは――

届かない 手に触れるのは風ばかり
目の前にあるはずなのに それは幻影だと言うのか
君は僕に微笑む


もう 届かないよ


もう一度 あのころに帰れるのなら
僕は手を握って歌おう 君が笑ってくれるように
そして君に伝えよう

「ずっと―― ずっと好きだったよ」

その「碧」は 灯火のように風に消える
「黒」の前では 「碧」とはかくも無力だ
少年は 今日も独り
胸に秘めるは 少女への想い
その想いが彼女に届くことは「銀」にないだろうか……


そして水面下は終わりを告げる
男はまた手をかざす
水面下は、何もなかったかのように揺らぐ

それは 男が垣間見た 「黒」の世界……







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